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死因上位の誤嚥性肺炎の原因は就寝中にある?

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死因上位である誤嚥性肺炎ですが、軽視されやすい病気の1つです。

初期段階では気がつかず、重症化してしまうケースが多く見られます。

そんな誤嚥性肺炎ですが、原因は就寝中に引き起こされるマイクロアスピレーションも原因の1つとして考えられています。

今現在、身内の方の介助をしている方には是非とも一読していただきたいです。

 

日本人の死因

以前までは、日本人の死因は1位から悪性新生物(ガン)、心疾患、脳血管障害となっていましたが、現在は悪性新生物、心疾患、肺炎という順位になっています。

以前まで3位であった脳血管疾患は第4位となり、現在では第3位に肺炎がランクインしています。

 

肺炎の症状と原因は?

主症状として、発熱・咳・痰など風邪の症状によく似ています。

風邪は鼻や喉が細菌・ウイルスに感染することで知られていますが、肺炎は肺そのものに細菌・ウイルスが感染し炎症が起こる病気のことです。

 

肺炎の種類は?

肺炎には様々な種類があります。

マイコプラズマ肺炎

比較的発熱は少ないものの、激しい咳を伴う肺炎になります。

マイコプラズマ・ニューモニアエという病原体によって引き起こされます。

感染力はあまり強くありませんが、飛沫感染・接触感染するとされています。

レジオネラ肺炎

全身の倦怠感、頭痛、食欲不振、発熱、呼吸困難が主症状となり、意識レベルの低下や幻覚、手足の震え、下痢などはレジオネラ肺炎の特徴的な症状です。

誤嚥性肺炎

発熱、咳、痰を主症状としますが、自覚症状がなく気づかれない場合も多くあります。

老化や脳卒中発症後、認知症により嚥下障害が引き起こされている場合に食べ物や唾液等が気管に侵入する事を誤嚥といい、それによって侵入した細菌によって引き起こされるものを誤嚥性肺炎と呼びます。

 

誤嚥には2種類ある

一口に誤嚥と言っても誤嚥には2種類存在しています。

マクロアスピレーションマイクロアスピレーション 

マクロアスピレーションとは、多くの方が想像する誤嚥です。

食事中の食べ物や飲み物が誤って気管に侵入する誤嚥を言います。

咳反射が著しく低下している方を除き、むせを伴う誤嚥です。

一方でマイクロアスピレーションとは、食事以外の主に就寝中に口腔や咽頭の分泌物や胃液を誤嚥するものを言います。

少量ずつ気管への流れ込みが生じるため、ほとんどむせがありません。

 

誤嚥性肺炎の原因は就寝中にあった!?

勘違いしている方も多くいるかと思いますが、誤嚥性肺炎の主な原因としてはマイクロアスピレーションであると考えられています。

肺炎の原因菌を含まない食事を清潔な口で摂取してむせる場合には肺に細菌が侵入し、肺炎を引き起こす可能性は低いという研究結果があります。

700件近くの嚥下造影検査の結果より、喉頭侵入を約30%、誤嚥を約48%認めたものの、肺炎発症は1%であったとの報告が挙げられています。※1

もちろん食べ物を誤嚥するマクロアスピレーションが原因で誤嚥性肺炎を引き起こす場合もありますが、この事からマイクロアスピレーションを重要視する必要性が示唆されている。

 

誤嚥性肺炎の予防法

  • 正しい姿勢での食事
  • 高齢者の「ながら食事」を注意
  • 食事のペースはゆっくりと少量をよく噛んで食べる
  • 硬いものは最初から小さく切ってから口に入れる
  • 食事前後の口腔ケア

以上の5つに注意することが大切となります。

マクロアスピレーションによる誤嚥性肺炎の発症は少ないという研究結果もありますが、不潔な口腔で頻回な誤嚥を引き起こしていては誤嚥性肺炎のリスクは高まるばかりです。

食事時の最低限の注意を払うことでより一層の予防に繋がると言えます。

また、食後の口腔ケアは皆さん行っていることと思いますが、高齢者の場合には食前の口腔ケアも大切です。

高齢者では、口腔内の洗浄作用がある唾液分泌の減少が起こるとされているため、成人に比べ口腔内が不潔になりやすい状態です。

食前・食後の口腔ケアを行うことで、より一層の予防に繋がります。

 

まとめ

今回は、誤嚥性肺炎についてまとめてみました。

誤嚥性肺炎についての理解を深めていくことで、健康寿命を伸ばしていく事に繋がっていきます。

今現在、身内の方の介護を行なっている方は、今日からでも実践していただきたい内容です。

引用文献:

※1) Jo H et al:Incidence of Pneumonia After Videofluoroscopic Swallowing Study and Associated Factors. Dysphagia 31:41-48,2016.PMID:26547192

参考文献:

高畠英昭:脳卒中後の嚥下障害と肺炎:J.of CLINICAL REHABILITATION 28巻.3号2019年.3号.259-263